家をほめられて、いやな顔をする人はいない。はじめて訪ねた家では、まず上手に家をほめるのが、世渡りの第一歩なのである。部屋にとおされてきれいに片づいていたら、まず、それをほめる。客を招くときには、掃除してあるのがふつうだろう。整理整頓をほめるのは、その苦労への感謝の気持ちもふくんでいるのだ。もし、散らかっていたら、そのことは相手も気にしているはず。話題を家の外に求めればよい。「日当たり良好、駅近し、まわり静か」という不動産広告でも思いだして、環境をほめるのだ。緑が多くて素敵だとか、派出所が近くて安心だとか、さがせばひとつぐらいはほめるところがあるはずだ。家に着くまでの道すがら、ほめるポイントをひとつふたつしこんでおけば、こういうときにこまらない。ロベタな人は、「庭があると落ち着きますね」といい、あとは黙って庭を見つめるだけで、しばらく座もちができる。庭は便利なテーマで、「子どものころは、この庭でお遊びになったのでしょう」とでも問いかければ、話題は切りかえられるのだ。ただし、新居に招かれても、お金の話は避けるほうがよい。それぞれに事情があるもので、こちらが、ほめたと思っても逆効果になるだけだ。
保険業界各社の命運は、ひとえに保険勧誘のオバちゃんたちの手に握られているといっても過言ではない。というわけで、ある保険会社では、勧誘員研修の場で、ひそかにつぎのようなテクニックが検討されたことがある。テーマは「断られたときから、仕事がはじまる」である。
●あらかじめパンティーを盗んでおき、「落ちてました」といって玄関に上がり込む。
●二人一組になり、ひとりがその家の子どもを泣かせ、もうひとりがあやして家に入り込む。
●ダイレクトメールに女性の上半身だけを印刷し、「訪問の際には下半身の写真もお見せします」の文句を入れておく。
●チラシに電話番号と「あなたの電話をお待ちしております。○○子」と書いておく。などなど…。こうしたテクニックがほんとうに実行されたかどうかは定かではないが、少なくとも保険会社にとって、客の門前払いにどう対処するかは、きわめて大きな課題といえよう。